家庭菜園というと、ミニトマトやキュウリ、ナスを思い浮かべる方は多いと思いますが、今や種子メーカーの品種開発、苗生産農家の技術力アップ、輸送技術の進化などで、園芸店やホームセンターに並ぶ野菜苗、種の品種は数えきれない量になっています。
でも、どんなに種類があっても、植えられるスペースの制限などで、育てられる野菜の数は限られていますよね。
「ミニトマトやキュウリは育てたことがあるけど、他に何か面白い野菜を育てたい!でも、どれを選んだら良いか分からない。。」
今回はそんな方へ向けて、100品種を超える野菜を育ててきた私が、独断と偏見で「育てるのが面白い!」と思う夏野菜をご紹介いたします。
この記事の目次
ズッキーニ
育てやすさ |
普通 |
植え付け時期 |
5月初旬~6月中旬 |
収穫時期 |
6月末~8月末 |
種or苗の入手難易度 |
容易 |
プランターで栽培を行う場合は、60cmの深型長方形又は40cm程度の丸形など、大型のプランターを用意してください。
ズッキーニのオススメポイント
- 成長過程が面白い
- 実り方が特徴的
- 強健で育てやすい
ズッキーニはきゅうりによく似ていますが、実はカボチャ属に属しているカボチャの仲間です。
かぼちゃの仲間といっても、一般的なかぼちゃと異なり、つるが伸びません。そのため「つるなしカボチャ」と呼ばれることもあるのですが、この株の成長がとっても迫力があって面白いんです!
ズッキーニは、親づる一本からたくさんの葉を出しながら、写真のように成長していきます。よくズッキーニは場所を取らないので育てやすい。なんて書いているのを見ますが、場所は取ります。露地栽培(畑)であれば株間は100cm程度取る必要があります。
株間が必要な理由は、葉がとっても大きいからです。つるが伸びずにたくさんの葉が伸びてくるのですが、1mを超える高さにとても大きな葉をいくつも付けるので、その姿は圧巻の迫力です。
受粉しなければ実は枯れ落ちてしまいますので、1株や、2株しか育てない場合は、人工的に受粉させてあげる必要があります。
株もそうですが、実のでき方もまた特徴的で面白いんですよ・・!
キュウリやナス、トマトやピーマンは花が咲いた後、ぶら下がって実ができますが、ズッキーニは短い親づるからにょきにょき実が伸びてきます。収穫は大きな葉が邪魔になって少し難しいのですが、こんな実り方の植物あんまり無いので、実り方を見るのも楽しいです。
もちろん収穫した後のズッキーニは炒め物などにしておいしくいただけますが、食べる楽しさに加えて、その成長も楽しんでみてください!
サツマイモ(紅あずま)
育てやすさ |
簡単 |
植え付け時期 |
5月中旬~6月中旬 |
収穫時期 |
植え付け後110日~120日 |
種or苗の入手難易度 |
容易(ただし販売期間は短い) |
苗はつるを切ったもの(いもづる苗)です。
プランターで育てる場合は60cmの深型長方形プランターを用意してください。
サツマイモ(紅あずま)のオススメポイント
- 多収で収穫がとっても楽しい
- 水やり不要、強健で育てやすい
家庭菜園ではさつまいもは割とポピュラーな方なのですが、芋づる苗の販売が夏野菜より後で、かつ売られている期間も短いため、植えたことが無い方も多いかと思います。でもやっぱり、やっぱりサツマイモは収穫が楽しい、楽しい、楽しすぎる。おすすめです。
サツマイモにもいろんな種類がありますが、私は最も代表的な「紅あずま」を強くオススメします。その理由は単純で、収穫量がとても多いからです。
サツマイモも安納芋、紅はるか、シルクスイートなどなど、いろんな品種の苗が売られておりますが、最近は安納芋の名前がとっても有名になったので、安納芋の苗を狙う方は多いようです。しかし、安納芋って紅あずまと比べると収穫量が少なくて、少し栽培も難しいんですよね。。
安納芋は甘いのでスイーツには良いのですが、天ぷらなどの料理に使う場合は、紅あずまの方がおいしいです。紅あずまは色々と料理の使い道が多いので沢山収穫できてもあまり困りません。
栽培は、伸びたつるから出た根が地面に根付いてしまわないように、「つる返し」だけ忘れずにやっておく必要がありますが、水やりは最初だけで肥料も要らないため、生育がとっても楽です。
楽して育てて収穫が楽しい。素晴らしい野菜です。ちなみに、葉が付いている茎の部分は、薄皮を取り除けば食べることができます!きんぴらなどにすると歯ごたえが良くておいしいですよ。紅あずまは生育旺盛なので、途中で多少つるを収穫しても問題無しです。
落花生
育てやすさ |
簡単 |
植え付け時期 |
4月下旬~5月下旬 |
収穫時期 |
10月下旬頃 |
種or苗の入手難易度 |
容易 |
苗が売っていますが、種からでも簡単に栽培できます。
プランターで育てる場合は、60cm長方形又は直径30cmの丸形プランターなど、大きめのプランターを用意してください。
落花生のオススメポイント
- めずらしい地下結実
- おつまみになる
落花生(ピーナッツ)は地下結実性のある豆の仲間で、花が咲いた後は 子房柄 が伸びて土に突き刺さり、土の中で実をつけます。まさに名前の通り!
地下結実性の野菜はとても珍しく(落花生くらい?)、その生育をじっくり観察してもらいたい野菜です。
品種は「千葉半立」か「ふくまさり」がおすすめです。
育てるのはあまり難しくはないのですが、 子房柄 が伸びてきた後に土寄せ(土を株もとにかけてあげる作業)が必要で、収穫できるまでの期間が 4か月以上と長く、植え付けから2カ月程度で収穫が始まるキュウリやトマトと比べると、少し育てるのに手間がかかります。
それでも、収穫するときに土から殻付きピーナッツが出てくる様はとっても面白くて、特にお子さんの食育などにオススメしたい野菜です。
また、落花生と言えば、ピーナッツ!ピーナッツと言えばおつまみ!自分で育てたピーナッツを食べながらお酒を飲めるのは幸せです。収穫した落花生をフライパンなどで自家焙煎して食べると最高ですよ!
坊ちゃんかぼちゃ
育てやすさ |
簡単 |
植え付け時期 |
4月中旬~5月中旬 |
収穫時期 |
7月~8月 |
種or苗の入手難易度 |
容易(少しお値段高め) |
プランターで栽培を行う場合は、60cmの深型長方形又は40cm程度の丸形など、大型のプランターを用意してください。
坊ちゃんかぼちゃのおすすめポイント
- 熟れていくカボチャを見るのが楽しい!
- 一般的なカボチャよりも玉が小さく、沢山実る
- 強健で育てやすい
上記で同じカボチャの仲間であるズッキーニも紹介していますが、ミニカボチャも育てるのがとっても楽しい野菜です。
ミニカボチャは受粉させてから収穫までは40日程度かかります。
最初は黄緑色でつるつるだったカボチャが、段々大きくなって緑色になってゴツゴツしてきて、売っているカボチャのような見た目になります。その変化は、開花してから1週間程度で収穫できるキュウリなどに比べるとかなりゆっくりしていますが、一カ月以上見守ってきたカボチャが収穫できるようになる喜びは格別です。立派できれいな形になったカボチャは、食べるのが勿体なく感じちゃうんですよね‥(笑)
滋賀県豊郷の特産物にもなっている「坊ちゃんカボチャ」は一般的なカボチャよりもサイズが小さく、重さは500g程度しかありません。
小さい分沢山実りますし、普通のカボチャよりも糖度が高く、甘くてホントにおいしい。収穫後3週間程度置いておくと追熟して甘さが増します。40日間見守ったカボチャをまた更に3週間追熟・・一体いつ食べれるんですか!と思うかもしれませんが追熟させた方がおいしいので我慢するしかないです‥(笑)
「坊ちゃんカボチャ」はスーパーなどでもたまーに見かけますが、あまり売っていない(売っていても高い)ので自分で育ててみることをオススメします。ちなみに苗も種も一般的なえびすカボチャなどに比べると高額です。一度栽培した後は、種を採取しておいて、保存しておくと次の年はお金がかからないのでおすすめですよ。
奥三河天狗なす
育てやすさ |
簡単 |
植え付け時期 |
4月末~5月中旬 |
収穫時期 |
7月~9月 |
種or苗の入手難易度 |
やや難しい |
プランターで栽培を行う場合は、60cmの深型長方形又は40cm程度の丸形など、大型のプランターを用意してください。
奥三河天狗なすのオススメポイント
- 一般的なナスの5倍以上になる特大なす
- 稀に変異してできる天狗みたいなナス
奥三河天狗なす(おくみかわてんぐなす)は愛知県の奥三河が産地の伝統野菜です。
苗は最近流通するようになったもので、園芸店、ホームセンターに置いてたり、置いてなかったりします。
栽培方法は一般的なナスと同じなので、割と簡単です。特徴的なのはナス実のサイズで、一般的なものに比べて5倍~10倍の重量があり、大きいものでは1個で1kg近くまで大きくなります。ナスで1kgですよ!信じられますか!
やはりデカいのは正義。私が育てた時は最大のもので600gちょっとでしたが、それでも十分すぎる大きさで、1度で食べきれませんでした(笑)おいしいので料理を変えて2回に分けて食べました。
成長もそうですが、大きい果実は成長を見守るのも、収穫するのも楽しいです。栽培には、あまりのナスの大きさに枝が折れることもあるようなので、支柱が必須です。また、1個1個のナスをより大きくしたい場合は、ある程度間引いて、1度に実る個数を多くても2個くらいまでにしておいた方が良いかと思います。
5%程度の確率で突起が出てきて、天狗のような見た目になるのですが、このナスは沢山実る方ではないので、見ることが出来たら相当ラッキーです。あまり期待はできませんが、これも楽しみの一つです。ナスが好きな方には絶対育ててもらいたい品種です!ナスの成長過程は迫力があって育て甲斐があり、収穫したナスはとろとろでとってもおいしいですよ。
まとめ
家庭菜園は、「食べる」ことを念頭に置いて、「この野菜を食べたいから」という理由で野菜を選び、家庭菜園を行う方も多いと思います。
もちろん、家で取れたての野菜が食べられることは、家庭菜園の1番の魅力と言っても過言ではないと思いますが、たまには苗を育てる楽しさや、収穫する楽しさを意識して、株の成長や、果実の成長を楽しめる品種を育ててみてはいかかでしょうか?
野菜を食べものとしてではなく、一種の植物として見て、どういう風に株が成長していくのか、どんな風に実ができるのか、など観察してみるのも、家庭菜園の大きな楽しみの一つかと思いますので、ぜひ意識して取り組んでみてください!
上で紹介した5種は私がこれまで色々育ててきた中で、いい刺激を沢山もらった野菜達です。お子様がいる家庭などには特に、自信をもってオススメできます。入手が少し難しいものもありますが、よろしければみなさんも是非チャレンジしてみてください!