【臭い銀杏】なぜ街路樹に?

次第に涼しくなり、夏が終わりを迎える9月中旬、道を歩いていてると突然、強烈な臭いに見舞われます

あの・・独特で強烈な臭い

犯人は他でもない銀杏(イチョウ)!!

銀杏から落ちる実には酪酸ヘプタン酸が含まれており、それぞれ人の足のような匂い、腐敗臭を持ち、この2種類の強いにおい成分が混ざることで強烈な臭いを発します

このニオイは、実が潰されなければそこまで強く感じることはないのですが、、

街路樹として道路脇に植えてあるので、人や車に踏まれ放題

臭い、臭すぎる!!

自分が踏んでしまう可能性もあるし、家の前がこんな状態になっていたら大迷惑です

誰!なんでこんなところに銀杏植えたの!!

そう思ってもおかしくありません

銀杏の臭いを感じるとなんで街路樹にしたんだ。。と思うこともありますが、実は銀杏はとても優秀な街路樹なんです

銀杏がどのように優れているのか、詳しく解説していきたいと思います。

銀杏(イチョウ)は優秀な街路樹である

街路樹に求められる性能を満たす数少ない樹木

道路脇というのは非常に厳しい環境です

その厳しい環境で単純に育つということだけでなく、以下のような様々な性能が求められます。 (参照:京都市情報館)

  1. 樹形が美しく,均整のとれた樹木として生育する。
  2. 新緑・花・実・紅葉と四季の変化があり,夏の間には緑陰をつくる。
  3. 風雪等の自然災害に強く,都市の厳しい環境(乾燥・排気ガス等)に耐える。
  4. 病気になりにくく,害虫の被害も少ない。
  5. 移植が容易で繁殖しやすく剪定に耐える。

これらの条件を満たす樹木は数少ないですが、イチョウはこれらの条件をクリアしています

さらに、それだけでなくイチョウは

寿命が長い

中国・河南省にある文殊寺に、樹齢2800年以上生きている個体もあるなど、長寿な樹木です

街路樹は株を取り除かないと次の街路樹が植えれませんので、植え替えがとても大変

そのため寿命の長い樹木は重宝されます

紅葉が美しい

秋の銀杏並木は息をのむほど美しい

紅葉すると色が紅くなる木が多いですが、イチョウは綺麗な黄色になってくれます

その形と相まって、落葉する様子はとてもきれいです

火に強い

銀杏は燃えにくいという性質があります

お寺などでは古くから防火樹として植えられており、火事の延焼や飛び火を防ぐのに役立ってくれます

銀杏はこれらたくさんのメリットがある、スーパー樹木なんです!

これらのメリットからすれば、実の臭さも霞んでくる・・?!

臭いはいずれ解決する?

メリットが多いとはいえ、あの臭いと潰れた実が汚いのは問題です

以前は実を拾って持ち帰り、食べる人も多かったようですが、最近拾ってる人は見かけません

そんな状況のなか苦情が増えたこともあって、各市町村は対策に乗り出しています

雌木から雄木への植え替え

銀杏には雄木と雌木があり、実をつけるのは雌木だけです

そのため、雌木を実のならない雄木に植え替える作業が各地で行われています

ただし、上記で書いたように街路樹を植え替えるのは非常に大変でお金もかかるため、植え替えが進んでいるのは都心部が中心で、それ以外の地域ではまだまだ雌木が多いです

道路整備が本格的に行われたのは戦後の高度成長期ですので、その時期に植えられたイチョウは現在かなりの大きさまで成長しており、1本あたりの実の数がとても多くなっています

都心部では見かけなくなってきた雌木ですが、地方では今後もしばらく我慢する必要があるでしょう

まとめ

臭い銀杏を街路樹として植えるのは、街路樹に最適なエリート樹木だから!

ということでお分かりいただけたでしょうか・・?

銀杏は国内で57万本(2007年調査)ほどと非常に多く植えられている街路樹であり、野菜の切り方でイチョウ切りという言葉があるほど、私たちの生活に馴染んだ存在です

秋になる臭い実もある意味風物詩なのかもしれませんが、今後雄木への植え替えによって徐々に見れなくなるかもしれません

まだ近くにあるうちに、たっぷりニオイを嗅いでおこうと思います。(笑)

以上、臭い銀杏をなぜ街路樹に? でした。

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